嘘だろッ!54 嘘だろッ目次


「消毒液、染みると思いますが…」

 消毒スプレーを吹きかけられ、薬を塗られ、ガーゼを貼られた。ガーゼの上に、水滴が落ちる。

「そんなに泣き虫とは、俺知らなかった…泣かないで下さい…天道寺さん…」
「…呼び捨てで構いません。雪宗でも構いません」

 それは、恥ずかしい。

「年上なのに、呼び捨ては…。さっきは興奮してたから…失礼しました」

 裸の天道寺と、下半身裸の俺が向き合って失礼も何もないような気もするが…

「好きに、呼んで下さい…名前なんかどうでもいい…。拓巳、どうして、俺は君を傷付けてばかりいるんだろう。許して下さい」
「…謝るのは…無しにしよう…俺、俺…」
「拓巳も、泣き虫さんじゃないですか…」

 天道寺が俺を身体ごと、引き寄せた。ベッドに腰掛ける天道寺の膝に俺は遠慮なく跨った。

「…天道寺さん…、課長とは…もう、」
「好きじゃありません。さっきだって、君が見てたから、興奮しただけです。だけど…アソコは少し疼きますね」
「え?」
「痛みで、ですけど。今更、真司のを受け入れたいとは思いません。君のならいつでも大歓迎ですが」

 泣いていた天道寺の目の縁が赤く、煽情的だ。ジッと見つめれると、カッと身体の中が熱くなる。
 人参を抜いてから、ほったらかしにされている内部が、天道寺に食われたいと収縮を始めた。

「…天道寺さんの中も好きだけど…俺は……」
「分かってます。餌が良いんでしょ?」
「…身体だけじゃないよ、天道寺さん。全部食われたい…アホだから、ちゃんと言葉に出来ないけど…ココと」

 バンバンと、自分の胸を叩いた。以前、天道寺がしていた仕草を思い出し、真似てみた。
 天道寺は自分の胸と俺の胸に手を置き、天道寺のココと俺のココが、恋してなくても、身体が恋してると言っていたが、今は違うと言える。あの時から、既に俺は心も恋していたんだ。

「ココも」

 天道寺の手を俺の剥き出しのムスコに持っていく。

「そして、ココも」

 腰を浮かせ、窄みを俺の方を向いている天道寺の先端に押し当てた。

「ココも…」

 天道寺の先にヒクつく孔を押し当てたまま、天道寺の唇を奪った。
 自分から積極的にキスをする。舌を忍ばせると、天道寺の舌が俺を歓迎してくれた。
 さっき、課長が、この口内を犯したのかと思うと、嫉妬心が湧き、自分の唾液で消毒したくなった。
 そうじゃなくても、キスしているだけで唾液がいつもより多く下顎に溜まる。
 以心伝心というのか、天道寺が俺の舌と唾液を吸い上げるように、キスしながら俺の口内全体を啜った。
 舌がキュウと天道寺の喉に吸い込まれそうになり、唾液は見事に吸われてしまった。
 キスだけで、身体に電流が走る。このまま、腰を沈めたかったが、我慢した。
 俺は、天道寺を食いたいのではなく、天道寺から食われたいのだ。

「…俺を構成する全部が…天道寺さんを好きだと訴える…好きにしてください…」

 天道寺の目が、雄の欲望をみなぎらした色に変わる。
 課長とは受け身だった天道寺が、俺の前では雄になるのが、嬉しかった。
 天道寺の手が俺の左右の腰を掴む。

「本当に、拓巳は俺の餌になるために現れた天使です。ここまで欲したのは、君が最初で、最後です。俺から…俺だけに…喰われなさい」
「ぁぁあっ、…天道寺さんっ!」

 グッと腰を降ろされた。メリッと天道寺のナマコが、もとい、愛しい分身が俺の中に入ってきた。生だった。

「…はぁ、拓巳ッ…、最高です。痛く無いですか?」
「…ジンジン、はぁ…熱いです…天道寺、さんっ…、」

 俺は天道寺の背中にしがみついた。天道寺を自分の中に埋めたまま、天道寺に抱きつく。
 やっと、自分の居るべき場所に帰ってこれたと、嬉しさで興奮状態だった。

「…もっと…天道寺さんっ、俺を…」
「食べてあげますよ…トロトロに溶かして、起き上がれなくなるまで……覚悟はいいですか? まだ、辛い身体と思いますが…」
「…ナニ…されても…いい… 怖くは…無い…」
「…本当に、…愛しい餌だ…好きです」

 天道寺が交わったまま、俺の身体をベッドに押し倒した。角度が変わり、突き上げれる箇所も変わった。

「ぁあうっ、そこッ…」
「好きな場所ですよね。でも、まだ、です」 

 一番弱いところは素通りで、ワザと違う方へ力をかけてくる。

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