嘘だろッ!15 嘘だろッ目次

 
「ホントに、久野君は…思っていた以上に素直というか、可愛いというか、いやらしいというか…最高です。今まで手付かずで良かった…」
 
 あぁ、もう、天道寺は何をゴチャゴチャ言っているんだよ。サッサと触ってくれよ!

「…天道寺さんっ、」
「はいはい、もう指は終わりにしましょう。俺ので触ってあげますから」
「あ…」
 
 指が抜かれた。孔が寂しいのかヒクヒクと小さく痙攣している。

「久野君、目を開けて下さい。俺のに、コレ被せてくれますか?」
 
 天道寺が俺の胸に跨ってきた。
 ゆっくりと瞼を上げると、そそり立つ天道寺の巨大ナマコが視界の中心にあった。
 手に渡されたのはコンドームの小袋。
 自分に装着しても他人に装着したことなどない。
 ましてや、自分への挿入目的でこの薄いゴムを使うなんて、考えたこともなかった。

「いきなりで後処理はきついでしょうから、今日はコレを使いましょう」
 
 俺は寝たままの体勢で天道寺にゴムを装着した。
 破けないかなと心配になるほどの天道寺のサイズに、胸の鼓動が激しくなる。
 下から見上げているせいなのか、口に入れていたときよりも更に一回り大きいように感じる。
 それと…
 目がおかしくなったのか、瞼を閉じていた時間が長かったのか、やたら天道寺が眩しいのだ。
 中性的な顔も、男性的な裸体も、そして、非常に雄々しいナマコも。
 見てられなくて、視線を天道寺から反らしてしまった。
 そんな俺をフフと天道寺が鼻で笑い、下方に位置を変え、俺のモノと自分のナマコを絡めて遊びだした。

「…天道寺さん…、あっ…そんな…」
 
 他人のモノと絡めた事など、当然ない。
 ゴム越しでも天道寺の熱と固さが伝わり、変な感じだ。

「暗くしましょう」
 
 天道寺が、リモコンで部屋の電気を消すと、ヤツのナマコがライトグリーンの光を放ち浮き上がった。
 今日、ドラッグストアで買っていた蓄光タイプだったんだと、そこで気づいた。
 闇に浮かぶ天道寺のナマコが、天道寺から切り離された別の生物のようだ。

「これが、入りますから」
「…そんな大きなモノが…無理です…どう考えても、物理的に無理です…」
 
 光を放っているから余計大きく見えるのかも知れないが、あの孔が天道寺のナマコを飲み込められるほど広がるとは思えない。

「大丈夫、熟練の腕、イヤ、腰使いを信じて下さい」
 
 また、指が入ってきた。二本同時に挿れられ、中を確認している。

「…うぁ…あ…」
 
 俺の弱い所をそう〜っと撫で出て行った。堪らない。
 ソコをちゃんと触って欲しくて、やはり腰が浮く。

「欲しいでしょ?」
「…はい」
 
 入口にオイルを垂らされた。そして、天道寺がナマコの先端を宛がった。いよいよかと、生唾を飲み込んだ。

「挿れます。少しだけ痛いかもしれません。痛かったら、俺の背にしがみついても構いませんから」
 
 まだ、痛くはなかったが、俺は天道寺の背に手を回した。 
 何かに触ってないと、落ち着かないのだ。

「っつ…」
 
 メリッと音がしたような気がした。先端が入ってきた。

「大丈夫です。ちゃんと飲み込もうとしてますよ。大きく息を吸ってから、ゆっくりと吐いて下さい」
 
 目一杯孔周辺の皮膚が広がっているのが分かる。
 言われた通りに息を吐くと、それに合わせて天道寺が進んできた。

「…くっ…あぁ…はぁ…はぁ…」
 
 指とは比べようにならない圧迫感がある。

「痛いですか?」
「…痛くは…ないです…あっ、天、道寺さん…変っ、…」
 
 全く痛くないのかと言えば、嘘になるが、そう騒ぎ立てる程、痛くはなかった。
 それよりも、内壁が擦れる感じが凄くて、指の時とは違う感覚に戸惑っていた。

「変ではなくて、それは『いい』と言うんです。久野君の身体は、俺のが好きみたいですよ。女性の膣みたいに受け入れてくれます。あぁ、気持ちいい…最高です」
 
 天道寺の動きが止まる。

「馴染んでいるのが分かりますか?」 
「…はい…」
 
 ヤバイ、と思った。想像以上にいいのだ。俺はゲイじゃないはずだ。
 だけど、大きな天道寺のナマコに侵入されても全然辛くないのだ。
 それよりも、これが動いたら、どんな感じなのかと、期待で胸が膨らんでくる。

「動きます。久野君の好きな所をこねてあげますから」
 
 天道寺が動き出した。ゆっくりと俺の様子を伺うように動き出し、徐々にスピードを上げていく。

「…あ…、ぁあっ…、天道寺…さっ、ん…」
「初めてなのに、潤ってきてます…久野君、凄いです」
 
 滑りが良くなっているのは分かるけど、潤うって何だ? 
 それより、信じられないぐらい気持ちいい。
 足のつま先から脳天まで電気が走るようなこの鋭い感覚は何だ? 
 前を弄っているときは違う徐々にくるこの刺激は何なんだよッ。

「…凄い…、あぁ…、我慢できないっ…」
「我慢する必要はないですよ。どうして欲しいか言って下さい。欲しいモノ与えてあげますから」
 
 痛みからではなく、快感の強さに耐えられなくて、天道寺の背中に置いた指に力が入る。

「…アソコを…もっ、と…、」
「貪欲ですね。嬉しい限りです。これからが楽しみだ。どうです?」
 
 指の時、散々焦らされた箇所に狙いを定めて、天道寺が擦りあげてくれる。

「…いっ、イ…、天道寺さん…俺、…死にそうッ……」
「俺もです。ゴム越しでも久野君に溶かされそうです」
 
 もう、思考も止まりそうだ。
 目の前が白くなる。
 暗闇に星がチカチカ見える。
 前も張り詰めて噴火寸前だ。

「…イクッ、…もう…ダメ…良すぎで…、うっ…苦しい……」
「後ろで最初からイける人って、少ないのに、久野君、やはり俺の見込み通りだ…締め付けも凄いですよ。自覚ありますか?」
 
 締め付けも何も、俺は何かをしているつもりはない。それよりも、本当に、もうダメなんだよ。

「…天道、寺さん…あぁ…ギブ…です…許して…もう………」
「イッて下さい。後は俺が責任とりますから」
 
 何の責任? と一瞬思った。
 直ぐにそれは天道寺の激しい動きでかき消され、

「ァあああっ…」
 
 快感の絶頂と共に俺は果てた。
 嘘だろッ、男に掘られて、こんな快楽あり得ない…、遠くなる意識の中で呟いていた。


 NEXTBACK