嘘だろッ!14 嘘だろッ目次

 
「天道寺さんっ、さっき口でヤッたばかりでしょ! 何も今日からしなくても」
 
 天道寺のベッドに転がされた状態で訴えてみた。いくら何でも、急すぎる。

「イヤだな久野君。俺を何歳だと思っているの?」
 
 俺を見下ろしながら、後ろで止めた髪を解き、一つに結び直している。
 その姿にこれからすることへの意気込みが滲み出ている。

「三十だと思いますが」
「その通り、まだまだ精力旺盛です。昨日は君が慣れてないから一回でしたが、あの後自分でも抜きました。今日も本当は口で三回はお願いしたかったのですが、無理だと分かりましたので続きの分です。それに…」
「それに?」
「慣れないことは早くした方がいいのです。時間が経つと久野君、怖(お)じ気づくかもしれないでしょ? 今ならソコも少し解れていますから」
 
 風呂場で触られた感触が思い出されて顔が赤くなる。

「大丈夫です。全て俺に任せて下さい。信用して。俺は信用に値しませんか?」
「…いえ…」
 
 しません、って言えるわけないだろ!

「痛いのは最初だけですから、恐くないですよ。恐かったら目を閉じていて下さい」
 
 心臓がバクバクしてきた。緊張で口の中も乾いてくる。

「楽にして下さい。足を広げて…恥ずかしいことはありません。俺と同じ物が付いているだけですから」
 
 サイズが違うだろうよ、サイズが。
 それに見られて恥ずかしいのはソレよりもその下だよっ!
 天道寺が広げた足の間に入ってきた。
 俺の足を折り曲げ安定させると、覗き込むように顔を俺の局部に近付けてきた。
 駄目だ、何と言われても恥ずかしい。
 あんな場所、ドアップで見られて恥ずかしくない人間がいたら、お目に掛かりたい。
 耐えられず、俺は目を閉じた。

「今から滑りを良くするオイルを塗ります。今日はラベンダーの香りです」
 
 天道寺の指がまた俺の肛門の上に来た。
 孔の周辺を輪を画くように、ヌルヌルした指が這う。
 その指の圧が段々と強くなり、解されてているのがよく分かる。

「久野君のココはピンクと紫の中間色で俺好みの色です。薄すぎるのは淫猥さに欠けるし、かといって濃い色は初々しさがないし、顔同様、俺好みです」
 
 顔同様って、こいつ、俺の顔が好きだったのか? 
 初めて聞いたような…そういえば、課長が俺の顔はおば様方か二丁目付近だとウケるって言ってたから、天道寺にもウケがいいってことなのか? 
 顔が嫌いと言われるよりもいいが、顔はともかく、あんな場所に好みも何もないだろうに。

「そろそろ、入りますよ。指一本ですから、座薬程度です」
 
 その座薬の経験もないんです!
 よくよく考えたら、尻の穴に何かを突っ込まれた経験はない。
 もしかしたら、幼児の時に体温計とか解熱剤とかあるのかも知れないが、覚えている限り、ない。
 その穴は『出す』専門の一方通行なんだよぅ。
 お巡りさん、その人に違反切符きってくれ、と極度の緊張からかアホな発想が浮かんでくる。

「ほら、入りましたよ。痛いですか?」
 
 ヌルッとした感触と共に天道寺の指が入ってきた。逆行のくせに堂々と入ってきた。
 簡単に侵入を許す俺のケツの穴っていうのも、根性がない。もっとも、俺自身に根性があるのかどうかも疑問なんだけど。

「…痛くないです」
「まだ、第二関節です。一気に進みますよ」
「…あっ…」
「どうです、痛いですか?」
 
 痛みは全然ない。変な圧迫感はあるが、嫌な感触でもない。
 それよりも、そんな場所に指を突っ込む天道寺は嫌じゃないんだろうか? 
 どう考えても衛生的じゃない…

「痛くはないです。変な感じです。あの……」
「はい?」
「そんなところに、指入れるの、平気なんですか? さっき俺、トイレに行ったばかりですし…その…」
「久野君のココから出ていく物の殆どは、元は俺が調理したものですよ。指ぐらい問題ないです」
 
 凄い、理屈だ…やはり、天道寺は只者じゃない。

「ぅは!」
「ココですね。どうです、これは?」
 
 俺の身体の中ってどうなってるんだろう。 
 ヤバイッ、何なんだっ、ビリッと来た!

「…あぁっ…天道寺さんっ…身体が変ですッ…あ、」
「感じるでしょ? 正常な男子なら誰でも弱い箇所があるんですよ。ほうら、久野君の前もピンピンになってきました」
 
 別の指で先端を弾かれた。
 先っぽの敏感な部分を弾かれて、身体がビクンとしなった。
 未知の快感だ。本当に凄い。ダイレクトに来る。
 内臓を弄られて、前が勃つとは思わなかった。
 内側から湧き上がるこの言いようのない感覚は何なんだよ…

「痛くはないでしょ? 指増やします」
 
 指が二本に増やされ、内壁への圧が強くなり、動きも速くなった。
 擦れる感じが堪らない。

「ぁ…ン…、天道寺さん…さっきの所…」
「久野君、腰が浮いてますよ。自分から擦りつけようとしてますね。イヤらしい子です。もう覚えてしまいましたか」
 
 意地悪をされているのがわかる。
 ワザと気持ちのいいポイントを避けているのだ。
 知ってしまえは、我慢できない。

「…天道寺さん…、あぅ…触って下さい」
「前ですか、それとも、中の弱い所ですか」 
 
 どっちも触って欲しいけど、我慢できないのは中だった。
 ソコは自分では触れないのだ。

「…中…ちゃんと…触ってっ」


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