嘘だろッ!調教編22 嘘だろッ目次


 「全部脱いでから、上がりなさい」
 
 先に靴を脱いで上がった天道寺が俺を冷ややかに見下ろしている。

「…服?」
「必要ないでしょ」

 そう、今朝まで俺は全裸だった。

「はい」

 逆らう理由などない。上、下と脱いでいく。
 下着を履いてなかったので、あっという間の作業だった。

「よろしい。上がりなさい」
 
 俺が上がると天道寺が一歩下がる。
 そして、俺の頭の天辺からつま先まで視線を滑らせると一言「汚い」と呟いた。
 言葉だけじゃなく、汚物を見るような顔を俺に向けている。   

「…ゴメン」

 ちゃんと話をしようと思っていたのに、俺から出たのは、簡単な謝罪だった。

「一体、何について謝っているのやら。薄っぺらい謝罪より、消毒が先決です。来なさい」 

 天道寺に先導され、向かったのは浴室だった。

「ヒャッ! 冷たいッ!」
「当たり前です。水ですから」 
 
 浴室に入ると、天道寺はシャワーノズルを掴み、俺に向けた。
 水温調節でCに合わせた水、しかも水圧を強にしているので冷たいだけじゃなく痛い。

「あの獣の菌に汚染された汚い身体なんだから、多少のことは我慢しなさい」
 
 さすがに俺も傷付く。
 そこまで汚くはない、と反論したくなる。
 だが水の攻撃が強烈で、反論することより水を躱すことの方が先だ。

「動かない」
「ぐ、ほッ」
 
 水から逃げようとした俺に立腹したのか、天道寺の攻撃が顔に集中した。
 目が開けられないどころか、呼吸もできない。
 しかも鼻の奥にまで水が入り込み苦しくて堪らず、必死で水から逃げた。
 だが、水は逃げる俺を正確に追ってくる。

 …息が、息ができないっ、死ぬぅうう
 ――俺が死んだら天道寺が殺人者になる…それは駄目だ! と思ったら急に身体に力が入った。

「…
ローーーッ!」
 
 向かい来る水に、俺は自ら突進した。
 そして…

「危ない!」
 
 俺は濡れた床に滑り、一瞬宙を舞ってから尻から着地した。。

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