嘘だろッ!調教編17 嘘だろッ目次 |
「ああ、良かったです。安心しました」 良かった? 安心? この状況にまるで合わない言葉が専務から返ってきた。 どこに‘良い’‘安心’があるんだろう? 下げた頭を少しだけ角度を上げ、専務を見ると、専務の視線は俺ではなく天道寺に向いていた。 「吹雪先生、やっと良いお相手に恵まれたようで、本当に良かったですね」 良いお相手って、俺か? 俺だよな??? 「まあ、先生にもやや行き過ぎの感ははありますが、久野君の上司がこの松野だと先生のご心配もよく分かります。実際先生自身が、松野のせいで辛い経験されていますからね〜」 「宇都木専務、そりゃ、どういう意味だ? 聞き捨てならね〜な」 横から課長がチャチャを入れる。 俺が知っている以上に、天道寺は辛い目に遭わされたのかも知れない。 課長ならあり得る。俺の尻を掘ったり、俺の前で天道寺を犯すような男だ。 付き合っているときも、きっと問題があったに違いない。 だから、天道寺は俺に貞操帯を付けたんだ。 課長はプレイと言っていたけど、絶対に違う! 「言葉通りだよ、松野課長。久野君が松野と一緒だと吹雪先生も落ち着いてデザインどころではないでしょうから、一つご提案が」 「提案?」 俺と天道寺が同時に聞き返した。 「お二人は息もピッタリですね。久野君、いつまで床に座っているつもりですか? 立ちなさい」 「――ですが…」 これは俺の精一杯の誠意なんです! 「だから、提案があると言っているんですよ。上司命令です。立ちなさい」 そう言われてしまえば立たない訳にはいかない。 「…はい」 ゆっくりと立ち上がった。 「それで、提案と言うのは? この獣を、拓巳の前から消すと言うことでしょうか? いっそ、殺して頂いても構いませんが」 物騒な例を織りまぜ、天道寺が専務に催促をした。 ★宇都木専務は「嘘じゃないッ!」でデザイナー吹雪誕生から課長の松野と天道寺に絡んでいます。過去を二人の過去をよく知る人物です…。 |