嘘だろッ!調教編12 嘘だろッ目次

 「お二人、何やってるんですかッ! …社内で…うそでしょ…、そういう関係だったんですかっ!」
 
 村上の叫びに、俺と中の視線がかち合う。 そして、以心伝心、肯きあうと二人で村上の左右に別れて立ちその腕を取ると、

「先輩ッ ―――え?」 

 更にその口を中が塞ぎ、出てきたばかりの会議室に村上を伴い戻った。
 目を白黒させ抵抗を示す村上に

「いいか、大声出すなよ。ここで声を上げたら、この拓巳をレイプしたことにするからな。なあ、拓巳、お前をこんな姿にしたのは、村上だったよな?」

 肯定しろ、と中の視線が語っている。

「悪い、村上」

 と断りつつ、頷いた。
 村上の目が「そんな馬鹿な!」と訴え掛ける。

「声、出さないよな?」
「うん、うん」と村上が瞬きで返事をする。

 出すなよ、と念を押しながら中が村上の口から手を退けた。
 村上が大袈裟に深呼吸し、それから恨めしそうな目で俺と中を交互に見た。

「悪かったな、村上。状況を説明させてくれ。え―――っとな、」

 とりあえず、俺は謝罪した。
 だが、どう説明、いや釈明をすればいいのか…
 会議室の中は、まだ微かに青臭い匂いが漂っている。
 そして、汚れた衣類はないものの、貞操帯はテーブルの下に転がっている。
 幸いまだそれには気付いていない。
 なぜなら、村上は入口の方を向かされており、後ろを振り返らなければ、室内の状況を知ることが出来ない。

「拓巳、俺が説明する。まず、誤解を解く。俺と拓巳は、そういう関係だ」

 嘘だろッ、何言ってるんだ、このアホは。

「中!」

 慌てた俺を見た中がニヤッと笑った。

「という夢を、お前は見た」

 それから中が取った行動は、村上の首根っこを叩き、彼を気絶させるという荒々しいものだった。 

「ちょ、中、なんてことするんだ! 村上に罪はない」
「悠長なこと言ってる場合か。村上が見たのは現実ではなく白昼夢だ。脱がせ」
「はあ?」
「はあ、じゃないぞ。村上のズボンを拝借しろ。下着は抵抗あるだろうから」

 確かに体格は似ている。
 足の長さも似たようなものだ。
 だが、勝手に人様の服を下着も履かずに、身につけていいものとは思えない。

「…直接履くのはちょっと…汚すと悪い」
「普通は悪いよな。だが、今は普通の状況じゃない。拓巳、分かってるのか?会社にアダルトグッズを装着して来るような人間が、ここで常識的な見解を持ち込むなよ。早く専務の所に行かないと、宗兄がお前を退職に追い込むぞ」 

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