嘘だろッ!調教編1 嘘だろッ目次


 「久野! 久野はどこだっ!」
 
 東洋コーポ―レーション営業第二課。
 始業時間の五分前、課長の松野真司
(まつのしんじ)が自分のデスクに鞄を置くなり、姿の見えぬ部下を呼んだ。

「残念ながら、彼はまだ出社していません」

 返事をしたのは、営業二課の者ではなく、営業一課の吉田中だった。
 はい、お茶です。と女子社員に交じって、二課の連中にお茶を配っている。

「二課に用事か?」
「待たせて頂いてます」
「待つ?」
「課長と同じですよ。楽しい休暇を過ごした久野の顔を一目見てやろうと思って」 
「ふん、好きにしろ。それにしても、久野の野郎、遅いな。休暇明け早々、遅刻か?」

 誰か、連絡受けたか? と課長が二課の連中に訊くが、受けた者はいなかった。

「たるんでるな。来たら、説教だ」
「その説教に、俺も付き合っていいですか?」 

 課長と吉田の視線が絡む。といっても色っぽい意味を含ませているのではなく、腹の中に一物持ったもの同士のアイコンタクトだった。

「ああ、許す」
「ありがとうございます」

 ―――という、課長と中
(あたる)のやりとりを、もちろん俺、久野拓巳(くのたくみ)が知るはずもなく、通常の倍の時間掛かって、ようやく会社に辿り着いた。
 一歩、一歩、慎重に歩いた結果、遅刻も遅刻、一時間十八分遅れでの到着だ。
 仕事前に大仕事をやり遂げたと言っても過言ではない。
 だが…哀しいかな…前が幾分膨らんでいる。
 でも、それぐらいなんだ!?  
 ここは、開き直ってもいいだろう。
 哀しいと思うことはない。そうだ、ないのだ。
 胸を張ればいい。
 洩らさなかっただけでも自分を褒めてもいいだろう。
 洩らすと言っても黄色がかった透明の液体の方ではなく、白濁色の粘りけがある方だ。
 そもそも、俺がこんな状態なのは、天道寺に愛されているからだ。
 好きな男の愛故の行動に、文句を言うのはお門違いだ。
 男なら、受け入れなければ。
 それが、尻に異物挿入での通勤だったとしてもだ。
 そう、今、俺の尻にはアナルプラグが差し込まれている。
 天道寺に言わせると、これはプラグ付きの貞操帯らしい。
 俺の尻を課長の松野真司から守るのが目的だ。
 決して、俺を苦しめたいわけじゃない。 




ということで、調教編調教編始まりました…。前作より数年経っての執筆なので、多少文体が違うかもしれません…嘘だろッ!ラスト(玄関でたところ)の続きのシーン(会社に着くところ)から調教編始まります…


★「嘘じゃないッ」(同人誌全三巻中巻と下巻の表紙挿絵はコミック作画の慧サマです
     課長と天道寺の過去の恋愛話&「嘘だろッ」の天道寺視点での裏話
     かなりハードな性描写有りです…。(R18)
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